2025年の法改正と企業の対応
新年が始まりました!
本年も、松﨑事務所をどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、2025年もさまざまな法改正が予定されております。今回のブログでは、今年予定されている主な法改正と、それに対して企業がどのように対応すべきかについて簡潔に解説いたします。
1月1日施行の改正
労働安全衛生規則
労働者死傷病報告および定期健康診断結果報告書等の電子申請が原則義務化されました。 企業はこれに対応するために、電子申請システムの導入や運用の準備が求められます。
弊社では、既存のクラウドサービスによる電子申請システムとの連携を進めております。該当の事案が発生しましたら、担当スタッフまでお申し付けください。
4月1日施行の改正
雇用保険法
高年齢雇用継続給付の給付率上限が15%から10%に引き下げられます。
育児休業給付延長時の手続きが厳格化され、提出書類が追加されました。 会社は従業員に対して、延長の数カ月前より必要書類について十分に説明する必要があります。「入所保留通知書」のほか、「保育所等の利用申し込みを行った際の申込書の写し」(市町村へ提出前にコピー必要)と「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」(ハローワーク様式)が必要になります。
出生後休業支援給付金の創設や育児時短就業給付金の創設など、育児支援に関する新たな給付金が設けられました。 会社はこれらの制度を積極的に活用し、従業員が育児と仕事を両立できる環境を整えることが求められます。
10月1日施行の改正
育児・介護休業法
時差出勤やテレワーク、短時間勤務などの措置を導入することが義務化されるほか、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が義務化されます。
これにより、従業員はより柔軟な働き方が可能となることが予想されます。
会社は労働環境の多様化に対応するために、まずは育児・介護休業規程を改定し、周知することが重要です。
また、子どもが生まれた社員や、育児休業を希望する社員へ個別に意向聴取を行い、柔軟な勤務形態を推進することが求められます。
◦3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置
◦事業主が選択した措置について、労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
上記について、会社は、以下の措置から2つ以上を選択して実施する必要があります。
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等(10日/月)
- 保育施設の設置運営等
- 新たな休暇の付与(10日/年)
- 短時間勤務制度
従業員は、会社が講じた措置の中から1つを選択して利用することができるものとなります。
※会社が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
この個別周知・意向確認については、面談や書面交付等により行う必要があるため、様式を準備する必要があります。
まとめ
2025年の法改正では、労働環境の改善や育児・介護支援の充実を目的としています。企業はこれらの改正に迅速に対応し、従業員が安定して働ける環境を提供することが求められます。
企業が労働環境を早急に整えるためには、多くの努力とリソースが必要となります。これには、企業側の綿密な計画やビジョンが求められますが、長期的な視点で見れば極めて重要な取り組みです。
企業側が働きやすい環境を整えることで、従業員のモチベーションや満足度が向上し、結果として生産性が上がります。労働環境の改善は、既存の従業員の離職率を低下させる効果もあり、企業は長期的に見て、安定した労働力を確保できます。特に人手不足の現代において、優秀な人材を維持するためには、このような取り組みが不可欠になってきます。
さらに、従業員が仕事と育児、家事を両立できる環境を提供することは、社会全体への貢献にもつながります。子供を育てながら働かれる従業員は、時間とエネルギーのバランスを取るのが難しいと感じることが多いようです。その結果、仕事や家庭でのパフォーマンスに影響が出ることも考えられ、労働環境の悪化が懸念されます。企業がこのような労働環境の改善に取り組むことで、労働環境全体への改善、そして次世代の育成にも良い影響を与えるのではないでしょうか。
企業が率先して労働環境を見直すことは、個々の従業員の問題解決にも大いに寄与し、人手不足への対策にもなります。
現実的に考えると、これらの取り組みは決して容易ではありません。しかし、企業と従業員、そしてその家族にとって、共に成長し支え合うことができる環境づくりがますます重要となるのではないでしょうか…。
今回の法改正や労働環境の改善について何か気になることがあれば、どうぞ私たちにご相談くださいね。